分散型プロトコル「Yield Basis」が、無常損失ゼロのAMM設計によってネイティブBTCから収益を得る仕組みを実用化し、オンチェーンBTC流動性市場で存在感を急拡大している。
ビットコインには株式配当やイーサリアムのステーキング報酬(年率3〜4%)に相当する仕組みが存在せず、「保有しても収益を生まない資産」という課題が業界全体の長年の痛点となってきた。中央集権型貸し借りプラットフォームは2022年の連鎖破綻で信頼を失い、ラップドBTCによるブリッジ運用はカストディリスクを伴う。大半のBTCはいまだコールドウォレットで眠ったままだ。
Yield Basisはこの問題に正面から取り組む。独自のAMM機構によって流動性提供時の無常損失をヘッジする設計を採用し、BTC保有者が資産をそのままオンチェーン流動性として活用できる第四の道を提示する。無常損失が排除されれば「期待収益>無常損失+スマートコントラクトリスク」という従来の計算式のハードルが大幅に下がり、流動性供給量の爆発的拡大も理論上は見込める。
注目すべきは機関投資家への波及効果だ。現状、ビットコインETFを保有する機関は運用益を得られないが、ネイティブ利回りが信頼性ある構造的商品として成熟すれば、ETFからオンチェーンへの資金回帰という新たな競争軸が生まれる可能性がある。「BTC=ただ持つもの」という常識が変わる転換点になりうるか、今後の普及度合いが焦点となる。
【関連用語】AMM(自動マーケットメーカー)=価格アルゴリズムで売買を成立させる分散型取引の仕組み/無常損失=流動性提供中の価格変動によって生じる機会損失/ラップドBTC(wBTC)=他チェーンで使えるよう変換されたBTCの代替トークン