暗号資産金融においては、プロトコルの失敗は避けるべき災害ではなく、システムが自己修復・進化するための核心的な仕組みとして設計上に組み込まれている。
2008年の金融危機後、各国政府は「大きすぎて潰せない」銀行を数兆ドルで救済した。しかし分散型金融(DeFi)には中央銀行のような最後の貸し手が存在しない。設計の悪いプロトコルは必然的に淘汰され、その失敗の記録はブロックチェーン上に永久に残り、開発者全体の共有知識となる。
2022年のTerra/Lunaの崩壊やDeFiへのフラッシュローン攻撃は、その典型例だ。生き残ったプロトコルは複数回の監査・段階的な資本上限・緊急停止機能を備え、危機を経るたびに構造的に強化される。資本も自動的に敗者から勝者へ再配分されるため、生態系全体の平均品質が危機ごとに底上げされる。
編集部の見方:この「失敗を許容する」論理はオーストリア経済学の創造的破壊と複雑系科学の反脆弱性に基づく急進的な実験であり、規制当局が散戸保護と進化促進をいかに両立させるかが今後の最大の論点となる。
【関連用語】反脆弱性/フラッシュローン攻撃/最後の貸し手/創造的破壊/DeFi